聖地巡礼 山賊が行くご近所アルプス

御岳山、乗鞍岳・・・
ともに近場の3000mオーバーの、アルプスに属する高峰で
山岳ドライブ、釣り、登山、スキー、ハードキャンプなど
様々に親しんできた「ご近所アルプス(私が勝手に命名)」です
今回は源流釣行の装備の確認と肩慣らしを兼ねて5/1~5/2の日程で
この山域の聖地のひとつに、山賊活動(笑)のトレーニングに行きました
ご近所とはいえアルプスの3000m峰・・・
厳しい自然と向き合うサバイバルな釣行のドキュメンタリーです





21:00 登山届提出、装備パッキング
翌1:30 自宅出発~4:30山岳道路終点に駐車
5:00 標高1000m 気温1℃・・・吐く息が真っ白です
ここから10km・・・約7時間のルートを辿って20年振りの源流へ・・・
日帰り不可能なため、釣り道具に加えてテン泊装備、食料もパッキング
60Lザックの総重量はテン泊登山としてはヘビー級の24kgになりました(笑)
GPS(YAMAP)起動・・・携帯の電波は既にないので機内モードにチェンジ
出発です

 





営林署管轄林道を7km登ります
ヘルメットにヘッドランプ装着、点灯テスト
低気温、長距離、長時間を歩くので、登山タイツに登山ソックス装着
シューズはLA SPORTIVA ULTRA RAPTERⅡ(ロングディスタンス)をチョイス
後半のヤバい領域に備えてのんびり歩きます

 




10:00 登山地図に記載のないヤバい領域に突入
川のようなトンネルをジャバジャバ進むと、まずはコウモリのお出迎え(笑)
そして崩落個所も増えて雰囲気に凄みが増しています・・・
ハイパワーヘッドランプをフルパワーにして夜間クライミングの訓練開始
重荷を背負っているので、いかにバランスして踏破できるかが試されます
ここは・・・夜に「出る」らしいです(笑)

 





国境の長いトンネルを抜けるとクマの領域であった(川端康成風味で)
100年以上前に切り拓かれた道はほぼ消滅・・・サバイバルが始まります




断崖絶壁のトラバースを繰り返して進むと、橋も崩落していました・・・周囲は崖です
残置ロープはヤバいので、チェストハーネスを造り、ザイルを出して懸垂下降します
帰りはクライミングアックスとチェーンアイゼンで登攀です

 





激流に架かった一本橋・・・目測20m・・・
トレッキングポールをMaxまで伸ばして川底に突き刺し、バランスしながら渡ります
超々ジュラルミンのゴツいポールなら全体重がかかってもへこたれません





隈笹(クマザサ)の藪漕ぎ(やぶこぎ)
体重をかけて押し倒すラッセルが延々と続き、跳ね返りで顔が傷だらけになります
おやっ?タケノコが出ている・・・クマが近くにいるかもしれんな・・・
ベアアタックスプレーを持ちながら、ベアホイッスルを鳴らして慎重にラッセル
視界はほぼゼロのため、GPSで現在地を頻繁に確認、プロトレックで方角を確認・・・
クマだけでなく、道迷いや滑落防止もします

    





13:00 無事にデンジャラスゾーンを抜けて渓に到着
お昼と熱いコーヒー、タバコ・・・少しだけ釣りができそうです

 




14:00 ゲーターに履き替えて釣りの準備をします
前日の豪雨に雪代が加わって増水、激流・・・気温6℃、水温5℃・・・
ウェットウェーディングで足腰が凍りそうです(笑)
重荷を背負っての釣りや渡渉は僅かでもバランスを崩すと立て直し不可能・・・
虎の尾を踏む気持ちで遡行します

 




ドライフライへの反応が悪くてフッキングに持ち込めません
かろうじて一匹ヒットしたものの、針掛かりが浅くて痛恨のバラし(笑)
苦笑いしながら空を見上げると怪しい雲行きが・・・雪になるかもしれない・・・
釣りは2時間で切り上げ、ロッドをたたんでテン場探しにチェンジしました




17:00 気温2℃ どうにかテン場を見つけた時には夕闇・・・
凍りそうな足を暖めるために流木を集めて火起こしから始めます
道具は小さなノコギリ一丁とライターのみ・・・
木が湿っていようが、濡れていようがお構いなしの一発点火が山賊流
着火剤とか、バーナーが無くても焚ける方法があるんです

  





食材を現地調達・・・山菜の王様、タラの芽が山ほど採れました
焚火を一旦熾火にしてじっくりとテンプラ開始・・・
野生のやつは揚げてもボリューム満天で超絶に美味いので、酒の肴にもなります
主食は「尾西(おにし)」とフィレトンカツ300g、味噌汁・・・水はテン場の湧き水
スキットルの鬼殺しをチビチビやりながら豪華にいきます

 




雪がチラつき始め、雪に煙る月を眺め、炎を眺めて・・・燗にした酒をチビチビ
渓の音、風の音、フクロウの声、獣の足音と声・・・
人工物は何一つない大自然の中に一人・・・非日常の世界を久し振りに満喫します

 





20:00にはシュラフにもぐり込みましたが・・・怪現象が起こりました
深夜に大きな足音が近づいてきたので目覚めました・・・
クマ・・・かな? 
ランタンを点けてベアアタックスプレーとクライミングアックスを準備
足音はテント直前まで近づいてきました・・・
ヘルメットをかぶってヘッドランプMax・・・心拍が急上昇・・・
でも・・・鼻息とか、声がしない・・・なんだろうか??
試しに威嚇の声(腹式で低めの吠え)を発声するも反応なし・・・
遠ざかる音もしない・・・
意を決して飛び出すと・・・何もいない、足跡もない・・・???
霊感はゼロなので、何も感じるものはありませんが
時々ある「アレ」かもしれないので合唱して眠りにつきました・・・
翌朝に周囲を確認しましたが手掛かりは何もないので今もって不明・・・
目覚めてから5分くらいの出来事だったと思いますが
単独の源流泊で、説明できない怪現象はたびたび体験しています





翌朝8:00起床・・・テントが凍っています・・・完全に寝坊しました(笑)
焚火を起こして朝食、全装備パッキング・・・釣りはやらずに帰ることに・・・
11:00頃に出発して同じ道を辿り、18:00過ぎに車に到着
往復20.5km 移動時間約21h 総時間49h・・・
トレーニングは無事に終了しました

 






ちょっとしたハプニングはありましたが
体力も、登山技術も、サバイバル技術も何一つ問題なく
ケガ、体調不良も一切起こさず生還でき、トレーニングの結果は及第点・・・
唯一の問題は「ボウズ(釣果ゼロ)」です(笑)
次はどこに挑戦してみようか・・・?
山賊の旅は続きます



編集後記
源流の釣りは素晴らしい世界ですが、登山技術やサバイバル技術が不可欠・・・
些細なことでケガ、遭難、最悪の場合は死に至ることもあります
知人の源流エキスパートは死の直前(骨折、内臓破裂でヘリ救出)までいきました・・・
装備、トレーニング、計画など準備をしっかり行ったうえで
登山計画書の届出(ネットでできます)及び登山計画を家族に伝達する
現地では「バカ」がつくほどの慎重な行動と、ヤバいと感じた時に撤退する勇気
携帯の電波があるところまで下山できたら家族への生存連絡・・・など
「生きて帰る」ためのあらゆる手段を講じて臨むようお願いします・・・

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