聖地巡礼 黒部の山賊になる 序章

北アルプス立山黒部・・・
立山黒部アルペンルート、黒部ダム、3000m級の高峰、超ロング縦走など
全国的な人気を誇る山の聖地として君臨していますが
「一生に一度の黒部イワナ」と称される釣りの聖地として名高いフィールドでもあります
そして、かつて「黒部の山賊」と呼ばれる人々が実在したという伝説の山々でもあり・・・
そのような山河で「一生に一度」の夢に出会うために
そして、亡き息子との約束を果たすために
国内トップクラスの過酷な聖地に挑戦し、黒部の山賊になりました(笑)



黒部への夢・・・
ネットのない時代から黒部の釣りに興味がありましたが、詳しい情報は殆どなく
耳に届くのは「道のりは遠く険しく、素人には厳しい釣り」という噂ばかり・・・
「いつか行ける身分になったら黒部へ」という夢になりました
時は流れ、インターネットが普及すると、黒部の釣行記録も徐々に挙がるようになり
私にもできそうなことがわかってきたので、昨年より釣りを再開してトレーニング
秋から春にかけては山岳装備の再編成とリハビリを進め、黒部釣行を決行するに至りました
・・・「夢」を実現するのに20年以上の歳月がかかりました



黒部と山賊について、文献で少し調べていました
山賊の実態は「漁、猟、登山道整備、遭難救助」などを行う「山の番人」と呼ぶべきもので
明治時代から昭和30年代まで実在し、山で生計を立てていた人々・・・
30貫(約110kg)の荷を背負って山を駆け巡り
釣り上げた100匹以上のイワナを担いで3000m峰を越え、その日のうちに里に卸す
など、不可能と思えることを平然とやってのける彼らを、かの伊藤正一氏は「超人」と称えました
それとは別に、未開の黒部を探索調査する人々があり
冠松次郎氏が明治~昭和初期までの探索記録を出版し、黒部の名を知らしめるに至ります
その後「黒四ダム」が完成し、人跡未踏の地が多い北アルプスの環境が大きく変わります
立山黒部アルペンルートの開発による安全化、一般化
また、古代より存在した道に加えて、広大な北アルプスの登山道の整備が進められ
山小屋の充実、遭難救助体制の充実、登山装備の進歩、登山技術の進歩にともない
かつて「死の山」と恐れられていた北アルプスは
安全に縦走が楽しめる山域として国内トップクラスの人気を誇るに至っています




私が挑戦する黒部川の由来は諸説あるようです
 ・アイヌ語のクンネベツ(暗い川)が語源という説
 ・アイヌ語のクルベツ(魔の川)が語源という説
 ・ネズコと呼ばれる常緑針葉樹が生えており
  別名が黒檜(くろひ)といわれていたためという説
暗い川、魔の川・・・は、人を拒み続けてきた秘境のイメージとして的を射ていると思いますが
これを読まれた皆様はどのようにお考えでしょうか??



続いて、長きに渡り情報収集していた「黒部イワナに会うためのリサーチと検討」を要約
釣りにおける黒部の特徴は・・・
 ・富山側、長野側などアプローチルートは複数あります
 ・アプローチは徒歩のみ、道程は長く険しい登山道となります
 ・険しい登山道が多いため、遭難などが多いそうです
 ・標高に対する黒部川の流程が短い=川が急峻で激流と難所が多いそうです
 ・川が急峻なため荒天時の増水が凄まじく、犠牲者が多い危険なエリア・・・だそうです
 ・天候急変と気温の乱高下(夏でも凍死する)が多発するヤバいエリアだそうです
 ・雪解けは夏まで続く=増水が長く、釣りのチャンスが少ないそうです
 ・厳しい自然に鍛えられた「黒部イワナ」が棲んでいるそうです
 ・黒部川本流には素晴らしいニジマスも棲んでいるそうです
などなど、様々な苦難を乗り越え、チャンスをモノにできれば美しい黒部の鱒に出会える
という「心・技・体」に加え「運」も試される釣りになるようです



憧れの黒部イワナに会うためのアプローチを2ルート選択して検討しました


①富山県有峰湖折立まで車で自走、折立より徒歩にて登山道を登り
 太郎平を経て薬師平に到達、黒部川最源流薬師沢にて釣りになります
【特徴】
 ・車の移動は自宅~有峰林道終点折立まで300km(6時間)登山道8~10時間
 ・有峰林道の開門は7:00~折立着は8:00、閉門は19:00
  →登山スタートが遅くなるため、日没前に薬師沢に到着できなくなる
  →前日19:00までに有峰林道に入り、折立前泊、翌早朝発が必須
 ・釣り場が薬師沢しかないので釣り人が集中しやすいようです
 ・釣り場の標高は1900~2200m程度と思われます
 ・薬師沢エリアはキャンプ不可、宿泊は薬師沢小屋のみです
 ・薬師沢流域はC&R(キャッチ&リリース)です
 ・釣れる魚はほぼイワナのようです


②長野県大町~扇沢まで自走、バスに乗り換えて黒部ダム下車
 ②-1登山道を経て黒部湖及び黒部湖各支流にて釣りになります
 ②-2登山道→渡し船→登山道を経て黒部川「上の廊下」下流域
 黒部湖及び黒部湖各支流にて釣りになります
【特徴】
 ・車の移動は自宅~扇沢まで250km(5時間)登山道最長10時間
 ・登山道は危険箇所、険しいところが多いようです
 ・黒部ダム近くから黒部川本流及び黒部湖対岸まで釣り場が多数あります
 ・釣り場の標高は1500~2400m程度と思われます
 ・山小屋、キャンプ場が点在します
 ・釣れる魚はイワナ、ニジマスの河川型、湖沼型と多様です


上記検討から、バリアブルに楽しめそうな「②大町~扇沢~黒部入り」して
装備軽量化を重視した山小屋泊・・・というメニューにしました



【計画】
釣り装備、登山装備など荷の重量は20kg以下を目標に設定
荷の重量と59歳の体力を考慮して、標準コースタイムの1.5倍を目安に
荒天による停滞なども考慮して4泊5日
 1日目:扇沢~黒部ダム~平乃小屋泊、釣り少々
 2日目:平の渡し~奥黒部ヒュッテ泊、釣り少々
 3日目:黒部川にて釣り~奥黒部ヒュッテ泊
 4日目:奥黒部ヒュッテ~平の渡し~平乃小屋泊、釣り少々
 5日目:平乃小屋~黒部ダム~扇沢
往復山行と釣りの遡行トータル歩行距離40kmオーバーの旅を計画しました


後日山行と釣りをレポートいたします

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